世界でもっとも旨い日本酒を決める、世界最大級の日本酒コンペ『SAKE COMPETITION 2018』が今年も開催されたので、取材に行ってきました(引用はこちら)。
SAKE COMPETITIONとは…
日本一美味しい市販酒が決まるきき酒イベント、出品酒世界最多、唯一日本酒だけのコンペティションとして今年で7回目を迎えます。(中略)
私共は、日本酒の品質を正しく評価し、料理に合わせておいしい日本酒の選択基準を作りたいと考えました。そのためには、日本に流通しているできるだけ多くの日本酒を集め、同じ人間が一斉に評価をする必要があります。それが2012年より開催している「SAKE COMPETITION」です。
今回はその授賞式の様子や、実際にSAKE COMPETITION 2018で受賞した日本酒の紹介など、いつもと少し変わった記事を書いてみようと思います。日本酒好きな方は是非、ご覧ください(SAKE COMPETITION2017授賞式&受賞銘柄についてはこちらの記事を参照)。
※当記事内で紹介している日本酒は同じ銘柄であっても当時のものと異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
SAKE COMPETITION 2018について:
銘柄を隠して中身だけで審査:
まず、SAKE COMPETITIONはよくある商業的な日本酒のコンペとは異なり、日本酒の銘柄を包装で隠し、中身だけで味や香り等の比較をしている公平な鑑評会です。
- 通常のコンペ:銘柄を知った上で比較・評価
- SAKE COMPETITION:中身を隠した上で比較・評価
そのため、『えっ、そんな名前の日本酒を聞いたことないし、その蔵元ってどこにある蔵元なの?』みたいなマイナーな日本酒もしっかりランクインしてくるのが面白いところ。
つまり地元の人にしか知られていないような地酒や、夫婦2人で作っているようなこじんまりとした酒蔵にも、SAKE COMPETITIONでは受賞のチャンスがあります。
有名な日本酒でも落選する世界:
また、中身を隠して審査が行われるために、いわゆる『旨い日本酒』として有名な銘柄でも落選してしまうのがSAKE COMPETITIONの厳しい点。
たとえばよく、美味しい日本酒として挙げられることが多い銘柄には、獺祭(だっさい)や十四代、そしてちょっと日本酒に詳しい人なら知っているであろう磯自慢や開運、紀土、一ノ蔵といったものがありますが、先に結果からお伝えしてしまうと、こういった日本酒は残念ながらSAKE COMPETITION 2018でランクインすることは出来ませんでした。
- 無名な日本酒:美味しければランクインできる可能性あり
- 有名な日本酒:有名でも落選してしまう可能性あり
そのくらい、このコンペで上位入賞するのは、どの蔵元にとっても難しいのです。
受賞できた時の喜びが大きい:
だからこそ、SAKE COMPETITIONで受賞できた時の喜びもひとしお。
これはどんな造り手にとっても同じだとは思いますが、純粋に作ったものの品質を評価してくれるコンペで受賞できるというのは、『おまえが作った日本酒は世界で一番うまいんだぞ!』ということを肯定してくれるようなものですからね。
受賞時に段上で感極まって泣いてしまったり、言葉に詰まってしばらく受賞コメントを発することが出来ない方が出てくるその気持ち、私にもすごくよくわかるような気がします(見ているこっちがもらい泣きしてしまいそうになるほど)。
SAKE COMPETITON 2018の概要:
こんな感じで前置きが長くなってしまいましたが、SAKE COMPETITIONはほんとうの意味での日本酒世界一を決める鑑評会。
実際、SAKE COMPETITION 2018では1,772点という日本酒が出品され、合計455の蔵元が受賞を目指したその結果については後述しますが、そのくらい、すごい日本酒のコンペなんだということをわかってもらえると嬉しいです。
- 出品銘柄数:1,772点
- 出品蔵元数:455蔵
【出品総数】:454蔵、総出品数 1772点
全国、そして世界から1772点が出品、純米酒、純米吟醸、純米大吟醸、吟醸、Super Premium、スパークリング、海外出品酒の7部門に分かれ、技術指導者、有識者、蔵元からなる、予審37名、決審41名の審査員によるブラインドで審査が行われました。
そして、この中から純米酒部門、純米吟醸部門、純米大吟醸部門、吟醸部門、SUPER PREMIUM部門などの各受賞酒が表彰されることになります*1。
林文部科学大臣も授賞式に駆けつけ:
ちなみに、今回のSAKE COMPETITION2018の授賞式には、下記写真のように林文部科学大臣が駆けつけ。
正直、文部科学省とSAKE COMPETITIONにはどんな関係があるのか少し疑問でしたが、林大臣のスピーチによると、元農林水産大臣だった時のゆかりで授賞式に呼ばれたそうです。
まぁどちらにせよ、日本政府がいかに日本酒普及に力を入れていることがわかりますね。今はまだ、日本国内やアジア各国でわずかながらに人気になっているだけの日本酒ですが、将来的には是非とも、ワインやウィスキーに並ぶ、世界的に人気のあるお酒になっていってほしいものと思います。
ほんと頑張ってほしいです。
日本酒の分類は外国人にわかりにくい:
世界的にも人気のお酒である「ワイン」は、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインなどなど分類が色でできるため、非常にわかりやすい特徴があるんですが、反面、日本酒の分類って純米吟醸、大吟醸、特別純米などなど、私たち日本人にとってもよくわかりませんよね。
そのため、日本酒をもっと世界的に広めていくためには、もっと海外の人にもわかりやすい分類をしたほうがいいんじゃないかと思う私。
たとえば造り手の方からすると不本意かもしれませんが、精米歩合でSAKE UNDER60とか、SAKE UNDER50などの分類を作るとわかりやすいのになぁと思います(GINJYOやDAIGINJYOじゃ絶対ダメ)*2。
SAKE COMPETITION受賞日本酒について:
ここからは肝心の、SAKE COMPETITION 2018で受賞した日本酒を部門別に紹介。
どのお酒も受賞した直後から注文が殺到し、そのうち、在庫切れで入手困難になってしまうものばかりなので、日本酒好きな方は早め早めに購入ください(私も授賞式後に受賞日本酒を購入させてもらいました)。
純米酒部門:
純米酒は日本酒の中で一番安く購入できるランク。
とりあえず日本酒を飲んでみようかなという方はもちろん、食事を楽しみながら日本酒を飲みたい…という、食中酒を求めている方におすすめの銘柄となっています。
そんな分野で今回、受賞した日本酒銘柄は下記の通り。
- 1位 會津宮泉 純米酒:宮泉銘醸株式会社(福島県)
- 2位 あたごのまつ 特別純米 冷卸:株式会社新澤醸造店(宮城県)
- 3位 蔵王 K 純米酒:蔵王酒造株式会社(宮城県)
- 4位 クラシック仙禽 無垢:株式会社せんきん(栃木県)
- 5位 寫楽 純米酒:宮泉銘醸株式会社(福島県)
- 6位 澤屋まつもと 守破離 山田錦:松本酒造株式会社(京都府)
- 7位 東洋美人 特別純米:株式会社澄川酒造場(山口県)
- 8位 笑四季 センセーション白ラベル:笑四季酒造株式会社(滋賀県)
- 9位 純米 飛露喜:合資会社廣木酒造本店(福島県)
- 10位 宝剣 純米酒:宝剣酒造株式会社(広島県)
1位の會津宮泉は、SAKE COMPETITION2017やSAKE COMPETITION2016ではTOP10に入りもしなかった純米酒。それがこうしてランキング1位になれるというのはSAKE COMPETITIONがガチの鑑評会だからこそと言えそうです。
尚、残念ながらランキング1位に輝いた會津宮泉を販売している通販サイトを見つけることが出来なかったので、2位のあたごのまつ 特別純米 冷却を紹介しておきます*3。
純米吟醸部門:
純米吟醸部門は、日本酒の基本と言える一番ポピュラーな分類。
日本酒を飲むのが初めて…という方なら、この純米吟醸で受賞した日本酒を飲めば、『ああ、日本酒って美味しいんだなぁ』ということがわかってもらえると思います。値段もだいたい2,000円前後とリーズナブルなので、そういった意味でも書いやすいランクですね。
そんな純米吟醸部門で受賞した日本酒は下記の通り。
- 1位 作 恵乃智 :清水清三郎商店株式会社(三重県)
- 2位 東洋美人 純米吟醸 一歩 山田錦:株式会社澄川酒造場(山口県)
- 3位 東洋美人 純米吟醸 50:株式会社澄川酒造場(山口県)
- 4位 名倉山 純米吟醸 善き哉:名倉山酒造株式会社(福島県)
- 5位 七水 55:株式会社虎屋本店(栃木県)
- 6位 文佳人 吟の夢 純米吟醸:株式会社アリサワ(高知県)
- 7位 AKABU 純米吟醸 愛山:赤武酒造株式会社(岩手県)
- 8位 作 雅乃智 雄町:清水清三郎商店株式会社(三重県)
- 9位 栄光冨士 純米吟醸 朝顔ラベル 生貯:冨士酒造株式会社(山形県)
- 10位 AKABU 純米吟醸 雄町:赤武酒造株式会社(岩手県)
1位の作(ざく)は、SAKE COMPETITION受賞の常連。
昨年の純米吟醸部門でもTOP10にランクインしているほどの日本酒なので抑えておきたい1本ですね。飲めばその香りの高さと、すっきりとした甘みを味わえると思います(2016年の伊勢志摩サミットでも提供された有名酒です)。
純米大吟醸部門:
純米大吟醸部門は、いわば日本酒の花形部門。
ちょっと値段は高いですが、飲んだことがない方が飲めば『こんなにも旨い日本酒が存在するのか!』というくらいに感動すること間違いなしのランクです。
そんな純米大吟醸部門で受賞した日本酒は下記の通り。
- 1位 南部美人 純米大吟醸:株式会社南部美人(岩手県)
- 2位 SEN:合資会社廣瀬商店(茨城県)
- 3位 作 雅乃智 中取り:清水清三郎商店株式会社(三重県)
- 4位 作 純米大吟醸 岡山 朝日米:清水清三郎商店株式会社(三重県)
- 5位 AKABU 純米大吟醸 極上ノ斬:赤武酒造株式会社(岩手県)
- 6位 町田酒造35 プレミアム 純米大吟醸:株式会社町田酒造店(群馬県)
- 7位 渡舟 純米大吟醸 斗瓶取り:府中誉株式会社(茨城県)
- 8位 鳳凰美田 赤判:小林酒造株式会社(栃木県)
- 9位 結ゆい 純米大吟醸 雫酒:結城酒造株式会社(茨城県)
- 10位 石鎚 純米大吟醸:石鎚酒造株式会社(愛媛県)
1位の南部美人については、今回、紹介を割愛させていただいたスパークリング部門でも1位を獲得し、ダブル受賞を達成。
そのため、ちょっと見にくいですが、上記写真では純米大吟醸部門とスパークリング部門のトロフィーを掲げ、南部美人の社長さんが満面の笑みを浮かべてるわけです。うーん、ほんとおめでとうございます。
吟醸部門:
純米大吟醸の日本酒と並び、日本酒の蔵元が力をいれている吟醸部門。
米と麹て作られた日本酒に対して、醸造アルコールを加えて出来たこの吟醸部門は、一般的な純米大吟醸よりも香りが高く、軽やかな味わいが堪能できるとあって人気です(引用はこちら)。
醸造アルコールとは食用に用いられるアルコール分(エタノール)のこと。原料には主にサトウキビが用いられ、サトウキビの糖蜜に酵母を加えて発酵させてアルコールを発生させたものを蒸溜させることによってできあがります。他にも米から作られた米アルコールなどもあります。
そんな吟醸部門の受賞日本酒は下記の通り。
- 1位 大吟醸 極聖:宮下酒造株式会社(岡山県)
- 2位 福寿 超特撰 大吟醸:株式会社神戸酒心館(兵庫県)
- 3位 燦爛 大吟醸 雫酒:株式会社外池酒造店(栃木県)
- 4位 東洋美人 大吟醸 山田錦 中取り:株式会社澄川酒造場(山口県)
- 5位 伝匠月桂冠 大吟醸:月桂冠株式会社(京都府)
- 6位 廣戸川 大吟醸:松崎酒造店(福島県)
- 7位 燦爛 大吟醸:株式会社外池酒造店(栃木県)
- 8位 わしが國 大吟醸 雫搾り斗瓶取り:株式会社山和酒造店(宮城県)
- 9位 町田酒造35 MAX 大吟醸:株式会社町田酒造店(群馬県)
- 10位 石鎚 真精大吟醸 袋吊り雫酒:石鎚酒造株式会社(愛媛県)
1位の宮下酒造は日本酒だけでなく、焼酎やウイスキー等も作ってしまうほどの酒メーカーなんですが、そんな蔵元でも美味しい日本酒さえ作ればSAKE COMPETITIONで受賞可能というのは面白いですよね。
まぁ元より大吟醸 極聖は各種コンペで金賞を受賞することも多かった日本酒。宮下酒造からすると、この結果も当然と受け止めているのかもしれません。
Super Premium部門:
Super Premiumは、720mlで市販価格が1万円以上、1.8リットルで1万5,000円以上の最高級日本酒を審査する部門です。
こちらは純米大吟醸部門や吟醸部門などとは異なり、ボトルデザインやパッケージなどを含めた審査として、酒質8、外見2で総合評価。さすがに1万円を超える日本酒は少ないために、Super Premium部門ではTOP3のみが表彰される形となります。
- 1位 醸:株式会社せんきん(栃木県)
- 2位 白鶴 超特選 天空 純米大吟醸 白鶴錦:白鶴酒造株式会社(兵庫県)
- 3位 太平山 純米大吟醸 天巧 20:小玉醸造株式会社(秋田県)
たぶん1位の醸(かもす)については名前を聞いたことがないという方でも、仙禽(せんきん)という名前であれば聞いたことある方も多いはず。
その仙禽を作っている蔵元が出している、最高級の日本酒が今回のSAKE COMPETITION 2018で1位を獲得という結果になりました。
すでに在庫切れ状態:
尚、毎年SAKE COMPETITIONのSuper Premium部門を受賞した日本酒については、瞬間的に在庫切れになります。
今年もAmazon、楽天とも在庫が一切ない状況になってしまっているので、購入できたらラッキーくらいに思っておいてください(現時点で楽天市場に在庫はある)。
ダイナースクラブ若手奨励賞も:
これで一通り、日本酒の主たる受賞銘柄を紹介させていただきましたが、クレジットカード発行大手のダイナースクラブでは2016年から『ダイナースクラブ若手奨励賞』という賞を創設し、40歳以下の造り手を支援する活動を行っているのでその紹介も少しだけ。
今回、この若手奨励賞を受賞したのは蔵王酒造の杜氏(日本酒を作る人)である大滝真也氏。
大滝氏は副賞賞金として50万円が貰えるだけでなく、今後、1年を通してダイナースクラブの月刊誌Signatureで特集が組まれたり、ポイント交換商品として提供されたりするなど、受賞銘柄である『蔵王 K』を広める支援がダイナースクラブから受けられるメリット有り。
正直、蔵王酒造の純米酒Kシリーズは、楽天でもAmazonでも販売されていないほどにマイナーなお酒になってしまっているので、こういった支援によってメジャーな日本酒になっていくといいなぁと思いますね。
若手の杜氏には是非とも、頑張ってほしいです。
2017年の若手奨励賞受賞銘柄は即在庫切れ:
2017年にダイナースクラブ若手奨励賞を受賞した山梨銘醸の七賢 大中屋 斗瓶囲い 純米大吟醸についてはダイナースクラブ側の支援もあってか、入手困難なプレミアム日本酒になりました。
今年受賞した蔵王酒造の純米酒Kシリーズについても、早いうちに売り切れになってしまう可能性もあるので、飲んでみたい方は早めに購入してみてくださいね(今年は純米酒の受賞なので、在庫切れになっても再入荷するかもしれません)。
私も美味しい日本酒を堪能します:
そんなこんなで1,772点もの日本酒の中から、世界一旨い純米酒、純米吟醸、純米大吟醸などが決まったところで、私は早速、Amazonを使って純米大吟醸部門1位の南部美人 純米大吟醸を取り寄せ(上記写真)。
今夜、早速このランキング1位の日本酒を片手に、まったりとした時間を過ごそうかなと思ってます。みなさんも是非、気になる日本酒があったらまずは1本、売り切れになる前に購入をどうぞ。ほんと日本酒は美味しいですよ。
以上、世界一うまい日本酒を決める、SAKE COMPETITION 2018が今年も開催!ランキング1位の純米吟醸や純米大吟醸はどれだった?…という話題でした。
参考リンク:
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